21世紀に入り、中国は急速な経済成長から既に20年以上が経ちました。この20年の間、多くの日本企業が中国進出を果たしました。中では、大成功した企業もあれば、数年間で撤退を余儀なくされた企業もあります。2025年現在、中国経済は大きな転換点を迎えており、ほんの小さな動きさえも世界に影響を及ぼすであろうと、その行方は全世界から注目されています。本コラムでは、中国進出の各形態とその特徴を解説します。
1. 中国進出の各形態
■進出形態1――現地法人の設立
最も一般的な進出方法で、これまで数多くの日本企業が中国で現地法人を設立し、事業を展開してきました。中国の規制緩和により、独資で展開可能な範囲も広げられ、2025年現在、交通運輸、情報通信、教育、医療、文化などの限られた分野を除き、外資の独資投資に対する制限はありません。昔と比べて随分進出しやすくなりました。行政手続きの電子化も進んでいるため、中国での法人設立行政登記では、最短1か月で営業許可を取得できます。
メリット:自社でビジネスコントロールが可能、事業展開しやすい
デメリット:コストが高い、撤退時のハードルが高い
■進出形態2――現地パートナー企業と手を組む
中国進出に意欲があるものの、事業展開に懸念があり、テスト販売にチャレンジしたい企業や現地法人の設立にハードルがある企業がよく使う手法の一つです。事業計画に応じて、現地パートナー企業との付き合い方も複数あります。また、ビジネスの展開状況を踏まえ、次のステップとして現地法人を設立するのか、現状維持とするのか、あるいは撤退するのかを選択することが可能です。
メリット:様々なビジネスに柔軟に対応でき、事業展開しやすく、撤退リスクも低い
デメリット:現地パートナー企業と良好な関係を維持する必要がある、自社のコントロール力が若干弱い
■進出形態3――VIEスキーム
VIEスキーム(変動持分事業体スキーム)とは、外国法人が中国でWFOE(Wholly-Foreign Owned Enterprise)と呼ばれる100%子会社を設立し、WFOEを通じて中国内資の運営事業主体(VIE主体)を実質的に支配し、事業を行うスキームです。外資規制のある分野(教育、文化、通信等)に投資する場合に使われることがあります。なお、近年、一部の業種では外資の参入制限が緩和されています。例えば、電信業務ライセンスについて、2024年4月10日、北京、上海、海南、深圳の4地域で、付加価値電信業務の拡大開放試験を実施するとし、インターネットデータセンター(IDC)、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)、インターネット接続サービス(ISP)、オンラインデータ処理・取引処理、情報サービスにおける情報発信プラットフォーム・配信サービス(一部事業を除く)、情報保護・処理サービス業務について、外資比率制限が廃止されました。
メリット:外資規制のある分野について中国で事業を展開できる
デメリット:下記の法的リスクを伴う
① 契約の有効性リスク
VIEスキームは一連の契約に基づいて、国内の運営事業主体の管理と利益の移転を実現していますが、これらの契約が無効とされた場合には、外国法人は運営事業主体に対する管理権を失い、その利益を得ることができなくなります。
② 規制政策リスク
VIEスキームが外資規制を回避するための違法な手法であると認定された場合、事業の継続が困難になる可能性があります。例えば、2018年には中国政府は教育分野でのVIEスキームの使用を明確に禁止しました。
③ 経営管理リスク
VIEスキームは株式による支配ではなく契約による支配に基づいているため、国内の運営事業主体に対する支配力は相対的に弱くなります。運営事業主体や経営陣に管理上の問題が発生した場合、運営事業主体に対するコントロールが不能になる可能性があります。
2. 結論と弊社の支援
上記のとおり、中国進出に関して、様々な方式があり、一概に優劣をつけることはできないため、これから進出を検討する企業は、専門家の助言を踏まえながら、自社の事業計画に最適な進出形態を選ぶ必要があります。ONE TENTHグループは、中国進出スキームに詳しい中国弁護士と日本国弁護士により、進出スキームについて包括的にサポートします。
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